世界が注目するマレーシア料理。4つのジャンルを徹底解剖
2014年、ペナン州が世界NO.1のグルメスポットに認定!
多民族の国マレーシアは、知る人ぞ知るフードパラダイス! おもに3つの国(マレー・中国・インド)の料理をバラエティ豊かに味わうことができ、さらにそれらが融合した独自の料理も多数。2014年には、英国の旅行ガイドブック社「ロンリープラネット」が、世界一の美食の町としてマレーシアのペナン州を選ぶなど、世界でも認められた味なのです。
マレーシア料理は大きく分けて4つのジャンルがあります。それぞれの特徴と代表的な料理を紹介しましょう。
マレー系の料理。甘い?辛い?その両方を調和させた魅惑の味
マレー系の料理は、比較的スパイシー。といってもタイ料理のような口の中で弾ける辛さではなく、ジワ~ッと後からくる辛み。これは、マレー料理に欠かせない調味料であるサンバルソースに入っている玉ねぎのしわざで、口に入れた瞬間はん?甘い?と感じるのですが、しばらくすると辛みがぐわっ! この感じ、たとえるなら“優しい男だと思っていたら、意外にワイルドだった”的なギャップで、いつの間にかハマってしまうのです。お隣の国、インドネシア料理でも食べられる「ナシゴレン」「サテー」「ナシレマ」(ココナッツミルクで炊いたご飯)、「レンダン」(お肉の煮込み料理)が代表的な料理になります。
中国系の料理。マレーシア発祥の料理から中国本土の郷土料理まで
「中国本土の料理よりもおいしい」とマレーシア人が自慢する中国系の料理(私も同感!)。飲茶に代表される広東料理、お粥で有名な潮州料理など、各地の料理をディープに味わうことができます。イスラム教でタブーとされる豚肉料理も多数。人気の三大料理は、マレーシア発祥といわれる「バクテー」(豚の漢方スープ)、「チャークイテオ」(米麺のやきそば)、「パンミー」(小麦粉でつくる麺料理)。「チキンライス」「ローストダック」「ヨントウフ」(マレーシア版のおでん)あたりも外せません。ちなみに、その昔同じ国だったこともあるシンガポールとは、名物料理がほとんど同じです。
インド系の料理。ずばりカレー。それもご飯から粉ものまで幅広いジャンル
インド系の人口比率が全体の7%に対し、その料理店の数が多いこと!それも、朝から晩まで、民族を問わず多くのマレーシア人でにぎわっています。みんなカレーが好きなんですね~。おもに南インドの料理が主流で、聖なる牛は食べず、マトンを重宝。人気の料理は「ナシカンダー」。ひとつの皿にご飯を盛り、そこに好きなカレーやおかずを乗せていくスタイルで、そのすべてを混ぜて食べます。「ロティチャナイ」(インド風のパンケーキ)、「バナナリーフカレー」(カレー定食)など、どの料理も本格派。マレーシア人が大好きなドリンク「テタレ」(練乳入りミルクティー)も、インド系の屋台で提供されています。
ニョニャ料理。プラナカン文化から生まれた独自の食文化
15世紀ごろ、多くの中国人がマレー半島に移り住み、現地の女性(おもにマレー人)と結婚。生まれた子供たちのことをプラナカンといい、彼らが作り出したのがニョニャ料理です。マレー系の特徴である多様なスパイス使いとタケノコや湯葉などの中国系ならではの食材を融合させた料理。イスラム教ではタブーとされる豚肉を使うのもニョニャ料理の特徴です。代表的な料理は「パイティー」(野菜入りスナック)、「オタオタ」(魚のすり身)、「ポピア」(春巻)、「カリーカピタン」(ニョニャ風カレー)。どれも大変手のこった味わいで、ファンの多い料理です。
ジャンルを超えたマレーシア料理の楽しみ方
さて、ここまで読んでいただいて、「マレーシアの料理は、民族ごとに違うんだなぁ」。という感想を持たれたと思います。でも、マレーシア料理の魅力はそれだけではないのです!
おもしろいのは、これらの料理が、あるときは民族間で融合し、あるときは競い合っていること。
たとえば、マレー系の料理として紹介した「ナシレマ」。マレー系の屋台だけでなく、中国系、インド系の屋台でも提供しています。ところが、同じ名前でも民族ごとに味が微妙に違うのです。つまり「ナシレマ」といっても、いろんなバージョンがあり、食べる方は、じぶん好みの味を見つけて楽しむ。中国系のマレーシア人が、インド系の「ナシレマ」店を贔屓にする、なんてこともよくあるわけです。
バラエティ豊かな食文化をもつマレーシア人の舌の繊細さはピカイチ。こんな食いしん坊たちが育んだ食文化、それがマレーシア料理なのです。
【記事執筆】
All About マレーシアガイド 古川 音