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地域によって違う、特色あるベトナム料理


ベトナムは、南北に長い複雑な地形を持つ国です。東南アジアといえば常夏の気候をイメージする方が多いと思いますが、ベトナムの場合は、地域によって気候がかなり異なるのが大きな特徴です。場所や気候が異なれば、そこで食べられる料理も変わってくるのは日本も同じですね。

そこで、今回は北部、中部、南部の料理の違いや、味の特徴を紹介したいと思います。

 

フォーを代表する北部は薄味


まず最初に紹介する北部は、日本人にも比較的親しみのある米粉麺「フォー」の発祥の地。
現在では全国で食べられているフォーですが、地域によって味は異なる様子。

北部はさっぱりとした味付けながら、しっかりとダシが効いている一方、南部は比較的甘いスープの味わいです。ことあるごとに、舌戦を繰り広げているハノイ人とホーチミン人ですが、「ハノイのフォーはうまい」というのは南部人の共通認識でもあります。

そのほか、「ブン・チャー・ハノイ」という米粉麺ブンを使ったつけ麺もハノイの名物料理。酸味のあるスープにつくねやかき揚げを具にして、ブンを浸して食べます。
こちらも北部だけではなく、いまではベトナムの定番料理となっています。

 

中部は海の幸が名物


続いて紹介する中部地方は、ベトナム第三の都市と呼ばれているダナン市を中心に、フエやホイアンといった世界遺産が点在している、近年注目されているエリアです。20世紀までフエで続いた阮朝は、他のエリアでは見られない独自の食文化が発達し、中でも皇帝が嗜んでいた料理は「宮廷料理」として現在でも国内外問わず多くの人々に親しまれています。

そんな中部は南シナ海で獲れる新鮮な魚介が名物。シーフードはもちろんのこと、魚のすり身を揚げたさつま揚げ風の「チャ・カー」は、旅行者にとっては押さえておきたいベトナムの名物料理にあたります。

麺料理では、少量の濃厚スープをかきまぜて麺に絡ませる「ミー・クワン」と、フエで発展したブン料理の「ブン・ボー・フエ」などが挙げられます。ミークワンはホーチミンやハノイ中心ではあまり見かけない料理ですが、ブン・ボー・フエは屋台や食堂で簡単に見つけることができます。

味付けは、ベトナム料理の中でも辛いと定評があります。料理そのものも辛い味付けが多いほか、ベトナム料理に欠かせない「ヌクマム」は、つけダレとして利用する際はかなりの量の刻み唐辛子を入れます。北部、南部人双方とも認める中部料理の辛さは、反面病みつきになるおいしさもあります。

 

自然の恵みを享受した南部料理


ベトナム最大の経済都市である南部ホーチミンは、東南アジアでも随一の都市発展が行われています。その傍ら、南西に位置するメコンデルタ地方は、大自然の織りなす肥沃な大地に恵まれています。

南部の定番料理といえば「バインセオ」。日本ではベトナム風お好み焼きとして紹介されることが多いです。米粉にココナッツミルクやターメリックを混ぜて生地を作り、野菜や肉類を具に挟んで焼き上げます。
ベトナム人にとっては、スーパーのフードコートや屋台で食べるお手軽料理となります。

そのほか、日本人でも好きな人は多い「生春巻き」。こちらも南部が名物と言われており、中国由来の揚げ春巻きが浸透している北部では、生春巻きは滅多に食べません。

そして、忘れてはならないのがメコン川で獲れる川魚。
「エレファントイヤーフィッシュ(象耳魚)」や、小魚を発酵させた「マム・カー」が挙げられます。特にマム・カーは少々クセのある匂いはするものの、日本にはない形容し難い味わいがあるので、一度は試食してほしいとこです。煮込み料理や鍋として食べることができます。

南部の味付けは、ココナッツミルクや砂糖を使った料理が多いため、他の地域と比べると甘い印象があります。

 

北部はさっぱり、中部は辛い、南部は甘い料理が多いと覚えておきましょう。

 

更新日:2015年09月03日

 

【記事執筆】
All About ホーチミンガイド 古川 悠紀

 

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