2022年“この夏絶対流行する!エスニック食“ランキング
昨年は「ビリヤニ」「プーパッポンカリー」「パッタイ」といった、主食メニューが上位ランクインとなりましたが、今年はタイ料理でもまだまだ日本での認知度は低い北部の名物料理「カオソーイ」が1位に。さらにテイクアウトとしての定番化されてきた「バインミー」が2位、ヘルシー志向が後押しする「フムス」3位という結果となりました。
まだまだおうちで楽しむことが多い現在、日本エスニック協会では、手軽にエスニックを楽しむ「おうちエスニック」の推進を引き続き推進いたします。今回1位になったカオソーイも含め多くの本格的なエスニック料理レシピを公開しています。
<第1位︓「カオソーイ(タイ)」>
〜タイの第二の都市チェンマイのカレーラーメン〜
カオソーイはタイの北部、第二の都市であるチェンマイの名物料理。中国系のイスラム教徒から伝来した料理といわれていて、禁忌により豚肉を食べないイスラム教徒のために、具材も鶏肉を使用しています。元々カオソーイは、周辺国のミャンマー、ラオスからタイへと伝わりました。
レッドカレーペーストをベースとしたスープに卵麺。さらに揚げ麺をトッピングするという個性的な麺料理です。カリカリの揚げ麺とモチモチの卵麺の食感の違いが楽しく、ココナッツミルクのマイルドな味に、唐辛子の刺激がグッと体に浸透します。柑橘のマナオ、玉ネギの一種であるシャロット、キャベツや高菜の酢漬けが添えられていて、それらを加えることで味がグッと引き締まります。
観光地としても人気のチェンマイの名物料理であることから、日本人にも知名度が高く、ファンも多いです。日本のタイレストランでもカオソーイを提供する店が増えていて、海外旅行がしにくくなった昨今は、現地の味を懐かしむ人も少なくありません。カレーラーメンというイメージから食べやすく、タイ料理初心者にもおすすめです。2つの食感の異なる麺を使用している珍しさもあり注目の麺料理といえます。
(解説:日本エスニック協会アンバサダー 伊能 すみ子)
<第2位︓「バインミー(ベトナム)」>
〜フランスパンに野菜やパテなどを挟んだ具沢山のサンドウィッチ〜
野菜や肉類など、様々な具材をパンにはさんで食べるバインミーは、ファストフードとして気軽に食べられてボリューム満点、栄養も取れるベトナム版サンドイッチ。バインミーという名前自体に「フランスパン」という意味があります。元々、フランスの植民地時代の影響でパン文化が根付いたベトナム、カンボジア、ラオスではファストフード的存在として、朝食やランチ用に買い求める人も多く、屋台で販売する光景が見られます。ニンジンやダイコンの甘酢漬けや豚肉のパテ、パクチーなどのハーブが入って、魚醤のヌクマムのソースをたっぷりかければ、ボリュームがありながらもさっぱりといただけます。新型コロナウイルスの影響によるテイクアウト需要増加が後押しになり、バインミーの販売は年々増加しています。エスニック料理店でなく、居酒屋やカフェ業態といったエスニック専門店でない店舗での提供も増えたこともあり、ファストフードの定番になりつつあるかもしれません。
(解説:日本エスニック協会アンバサダー 伊能 すみ子)
<第3位︓「フムス(中東)」>
〜中東料理・ハラルフードの導入として今年定着の予感〜
2019年より継続して上位にランクインするフムスは、レバノンやイスラエルなど中東の広い地域で昔から親しまれてきたソウルフード的存在です。「メゼ」と呼ばれる中東料理の前菜を代表する一品で、ひよこ豆とタヒーニ(中東の練りごま)、オリーブオイルなどをペースト状にしたものです。
昨今の健康ブームに、様々な栄養素が取れるフムスは注目度が高まっています。昨年ではコンビニエンスストアでも商品化され、今年はさらに注目のメニューです。
<他の調査結果もご紹介>
<企業に商品化してほしい第1位 ビリヤニ(インド)>
〜具材をスパイスとともに炊き込んだ南アジアを代表するごちそうご飯〜
ビリヤニは、インド及び周辺国で食べられている炊き込みごはんのような存在。スパイスの香りと上品な香りあるバスマティライス(長粒種)が鍋の中で調和して、極上のうま味をつくります。その調理法は難しく、大きく2つの方法で作られます。「重ね煮の方法」は、湯取り式と呼ばれる、湯の中で米を対流させて茹でたごはんをグレービーソースやマリネしたチキンなどの具材を重ねて調理する方法。これは、ある程度完成させたライスとソースを合わせています。一方、「炊き込みの方法」は、生米とチキンカレーなどを合わせて炊き込みます。地域性はもちろん、宗教の違いでも、調理法や使用する具材がかわり、イスラム教徒の人たちは、チキンやラム肉を使用したビリヤニが、ベジタリアンが多い南部地方では野菜のビリヤニが人気です。
ここ数年、何度もエスニック食トレンドランキングでも上位にランクインされるビリヤニは、専門店の出現やスパイス料理、南インド料理のブームが後押しし、今年は「商品化して欲しいメニュー」の1位にランクイン。今年は更に日本国内でインド料理の定番メニューの一つになるかもしれません。
<エスニック初心者におすすめする第1位 フォー(ベトナム)>
〜日本人も馴染みやすい米粉麺を使ったベトナム風ラーメン〜
フォーは、平べったいライスヌードルのことで、「フォー・ボー」といえば牛肉いり、「フォー・ガー」といえば鶏肉入りのベトナム風ラーメン。発祥地はハノイと言われていますが、ベトナム全土で食されており、地域によって味付け等も異なります。北部はさっぱりとした味付けながらしっかりと出汁が効いており、南部は比較的甘いスープの味わいです。どの地域のフォーでも、米粉を利用し、優しい味付けのフォーはエスニック初心者におすすめするのにピッタリでしょう。
日本でも、ここ数年エスニック料理店での提供にとどまらず、ハノイの人気フォー専門店ができたり、日本産のフォーを使った専門店が増えたり、多くのインスタント麺でのフォー商品が販売されたりと、知名度を上げています。また2022年は各食材の原料高騰にともなった米粉の再注目、2023年の日越外交関係樹立50周年とフォーへの注目が集まる機会も増えそうです。
<「今夏絶対流行るエスニック食ランキング」調査概要>
●調査期間:2022年5月2日(月)〜2021年5月13日(金)
●対象:日本エスニック協会員120名
<⽇本エスニック協会概要>
●商号 ︓⼀般社団法⼈ ⽇本エスニック協会 https://ethnic-as.net/
●理事⻑︓伊藤 光
●事務局︓〒101-0025 東京都千代⽥区神⽥佐久間町1-8-4
●設⽴⽇︓2014 年10 ⽉29 ⽇
●⽇本エスニック協会アンバサダー(50 ⾳順)
伊能 すみ⼦(アジア/スパイス/シンガポール)、⽒家 アマラー 昭⼦(タイ料理)、おきよし(汎地中海料理)、佐藤 わか⼦(各国料理)、下関 崇⼦(タイ屋台料理、お惣菜)、シャンカール・ノグチ(インド)、⽩⽯ 路以(タイ料理ライター)、⾼岡 朋⼦(タイ/アジアのホテル)、⻑澤 恵(タイ料理)、古川 ⾳(マレーシア料理全般)、渡辺 玲(インド/スパイス/カレー)
2014年10 ⽉に⽇本国内においてエスニック⽂化や⾷の普及活動を⾏っているメンバーを中⼼に結成された団体。エスニック⽂化や⾷の魅⼒を普及させるとともに、⽇本の伝統的な料理とエスニック⽂化が融合した新しい⾷⽂化「エスニック×⽇本」を通じた地域活性や、企業・⾃治体とコラボレートした商品開発・プロデュースなど、様々な⽂化創造をすることをめざしています。