辛くて旨くてクセになる! イサーン料理を食べよう【タイ】
すっきりと辛いタイ東北部の味、それがイサーン料理!
イサーン料理とは、“イサーン”と呼ばれるタイ東北部の料理全般のこと。比較的土壌に恵まれず海もないエリアのため、ほかの地方のようにフレッシュなシーフードやココナッツミルクなどを多く使う料理はほとんど見られません。「ちょっと味気ない料理なの?」と思うかもしれませんが、実際はその逆。その分、発酵により旨みを増した肉類や塩漬けにしたプーサメー(マングローブに生息するイワガニの一種)など、古人の知恵を生かした味わい深い食材が揃っています。また、イサーン料理と言えば忘れてはいけないのが、その辛さ! 甘さは抑え、辛さと酸味を際立たせた料理が多く見られるのが特徴です。
イサーン料理の代表メニューといえば、やっぱりソムタム!
イサーン料理の入門編として、まず押さえたいのがソムタムです。ソムタムは、熟す前の青いパパイヤを千切りにしたものに、ミニトマトや干しエビなどを加えクロックと呼ばれる臼に入れて軽く叩いたサラダのこと。マナオ(タイのライム)、ナンプラー、唐辛子、ニンニクなどで酸っぱ辛く、香りよく味付けしてあり、イサーンの主食であるもち米ともよく合います。
イサーン地方では、プーサメーの塩漬けを入れた「ソムタムプー」や、小魚を発酵させて作る調味料、プラーラーを入れた「ソムタムプラーラー」など、少々クセのある激辛ソムタムが一般的。それに対し、バンコクではココナッツシュガーの甘みを効かせたマイルドな「ソムタムタイ」が広く食べられているので、まずこちらから試してみるのもおすすめです。また、にんじんで作る「タムキャロット」や、フルーツがメインの「タムポンラマイ」、カノムジーンという発酵米麺を加えた激辛の「タムスア」など、青パパイヤ以外のバージョンもあるので、見かけたらぜひお試しを。
肉の旨みとハーブの香りが絶妙に絡みあう、ラープ
ソムタムと並び、人気の高いイサーン料理のひとつがラープです。細かく切って茹でた肉(豚肉、鶏肉、ダックなど)やナマズをミントやパクチーファラン(オオバコエンドロ)などのハーブ、青ネギ、シャロットと和えた肉料理。ピリッとスパイシーで、ハーブの香りと肉の旨みがより引き立ちます。
また、ラープと似た味わいで知られているのがナムトック。基本の材料はほぼ同じですが、こちらは肉を細かくせずスライスしているのが特徴。調理も茹でるのではなく、基本的には炭火で焼いたものを使います。そしてラープとナムトックともに欠かせない調味料がカオクア。米粒を炒ってから細かく砕いたもので、ふわりと広がる香ばしさが味わいのポイントになっています。
炭火焼きの肉料理は、香ばしくジューシー!
ヘルシーな料理の紹介が続きましたが、やっぱり肉もはずせない! ということで、ソムタムと合わせたいのがガイヤーンです。こちらは、ハーブや野菜、各種ソースなどを合わせたタレに漬け込んだ鶏肉を、炭火でじっくりと焼き上げたもの。外側はパリッと、中は柔らかい鶏肉にナムチムジェオ(カオクア入りで香ばしく、酸味、辛さ、甘さのバランスのいいイサーン地方のタレ)を付けて食べれば、止まらないおいしさ。また、脂ののった豚トロを炭火で焼くコームーヤーンも人気肉料理のひとつ。柔らかくジューシーで甘い豚トロは、ナムチムジェオとの相性も抜群です。
そして、イサーンの肉料理といえば忘れてはいけないのが豚肉ともち米を詰めて発酵させたソーセージ、サイクローグイサーン。発酵により程よい酸味を帯びたジューシーなソーセージに、生姜やピーナッツなどを添えていただきます。おかずとしてはもちろん、ビールのお供にもぴったりですよ。
ほかにも、たけのこのサラダやスープ、ハーブの香りと辛さが引き立つトムセープ、チムチュムというハーブ鍋など、本当に彩り豊かなイサーン料理。バンコクはもちろん、日本にも本格的なイサーン料理を食べられるレストランはたくさんあるので、いろいろ試してお気に入りを見つけてくださいね。
【記事執筆】
タイ料理ライター 白石 路以