HOME

新緯度帯ワインの注目株、世界が期待するタイ産ワイン

ワイン作りに適した温度差のある、タイの高地

カオヤイにある『PV Valley』のワイナリー。

 

まだ日本ではなじみの少ないタイ産ワインですが、近年話題の「新緯度帯ワイン」のひとつとして、オランダやデンマーク産のものと並び世界の注目を集めているのをご存知ですか? 熱帯の国のイメージが強いタイですが、いわゆる“避暑地”のような地域はワイン作りに適した温度差があり、ここ十数年で急速にワイン作りが盛んになっているのです。とくに世界自然遺産でもある国立公園を有するカオヤイは、タイ国内でもワイン作りが盛んな地域。山々に囲まれた恵まれた自然環境と程よい温度差がぶどう作りとワインの醸造に適していることから、いくつかの有名なワイナリーがこの地に居を構えています。

 

研究熱心なタイ人ファミリーが作るワインは、世界レベルの逸品揃い

『Granmonte』の赤ワイン「The Orient」(右)と、ロゼ「Sakura」。

 

そんなカオヤイのなかでも、専門家からも厚い信頼を置かれているのが『Granmonte』社です。非常に研究熱心なタイ人ファミリーが営むワイナリーで、娘さんはオーストラリアの大学の醸造学部にワイン留学をした経験の持ち主。そこで得た知識を生かし上質なぶどうの栽培に成功、敷地内に醸造工場も設置し、栽培から出荷まで一貫して自社の管理の元で行うことにより、現在では世界的に注目を集めるまでに成長。フランスをはじめ、各国での受賞歴も多く、タイ随一の実力派として認められています。『Granmonte』のワインのなかでも、奥深い味わいの「The Orient」はワイン通たちからも評価の高い逸品。また、社長夫人の名前を冠したというロゼ、「Sakura」は女性に人気で、プレゼントとして購入する人も多いそう。

 

日本のタイ料理店でも気軽に飲めるタイ産ワイン

『Siam Winery』の「MONSOON VALLEY」の赤と白。

 

王国の避暑地として知られるホアヒンをはじめ、タイ国内に3ヶ所の自社農園を持つ『Siam Winery』社。その代表的な銘柄がこの「MONSOON VALLEY」です。タイ国内の高級レストランのほか、国外にも多く輸出されていて、日本のタイ料理店でも「タイワインと言えば、まずはこれ!」というくらい、多くの店で取り扱われています。ハーブや柑橘などの香りが感じられるどこかトロピカルな味わいの白は、ハーブやスパイスの効いたキリッと辛いタイ料理と好相性。重すぎず、程よい酸味のある赤はスパイシーな料理はもちろん、揚げものや炭火焼きなどとも合うので、タイ料理以外のエスニック料理と合わせるのもおすすめです。

 

現地ではワイナリーツアーやタイ料理とのマリアージュを楽しんで

『PV Valley』のワイナリーにはタイ料理とワインを楽しめるレストランも。

 

日本でもタイ料理レストランや通販などで楽しめるタイ産ワインですが、本格的に堪能するならタイ国内でワイナリー巡りをしてみるのもあり。カオヤイに約400ヘクタールという広大な敷地を持つ『PV Valley』のワイナリーでは、見学ツアーのほか、タイ料理とワインのマリアージュを楽しめるレストラン、宿泊施設などもあり、ゴルフやカオヤイ国立公園の観光とセットで楽しむ人も多いそう。また、『Siam Winery』のホアヒンにある農園では、ゾウに乗ってブドウ畑を散策できるツアーも用意されています。今後、ますます注目度が高まっていくであろうタイ産ワイン。さまざまな料理とのマリアージュを楽しみながら、ひと足先に自分だけのお気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。

 

更新日:2015年11月11日

【記事執筆】
タイ料理ライター 白石 路以