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辛くてヘルシー! 通好みの料理が多いタイ南部料理【タイ】

刺激的な辛さと豊富な食材から生まれる深い旨みが魅力

タイ南部と言えば、マレーシアと国境を接するエリア。それだけにマレー料理の影響を受けたものが多く、ターメリックやカルダモンなどのスパイスやココナッツミルクを使った、香りが良く辛い料理が多いことで知られています。また、アンダマン海とタイ湾に挟まれた豊潤な土地柄、シーフードや土地特有の野菜など地元の食材も種類豊か。新鮮な食材の旨みを生かした料理の数々はヘルシーで味わい深く、女性好みのメニューも意外と豊富。バンコクを中心としたタイ中部やイサーン、北部の料理とは違い、日本では食べる機会が少ない南部料理ですが、エスニック好きならきっと夢中になるスパイシーな味わいのものがたくさん! バンコクや現地を訪れた際は、ぜひ南部料理にも挑戦してみてください。

世界一おいしい料理に選ばれたマッサマンも南部料理

マッサマンカレー

肉、じゃがいも、にんじんなど、具材はどれもゴロゴロと大きめ。野菜や肉の旨みや甘みが凝縮され、スパイシーながらも食べやすいのも特徴

 

日本で気軽に食べられるタイ南部料理の代表は、なんと言ってもゲーンマッサマン! 『CNNGo』というサイトで「世界で1番おいしい料理」に選ばれたことから世界的に有名になり、今やバンコクはもちろん、日本国内のタイ料理店の多くでも味わうことができます。ゲーンマッサマンとは「イスラム教徒のカレー」という意味。イランやインドのイスラム教徒からタイに伝えられたとされ、南部からタイ全土へ広がったのだとか。

イスラム教徒は豚肉を食べないので、鶏肉か牛肉で作られるのが一般的。乾燥唐辛子やレモングラス、ガランガーなど、ほかのタイカレーにも使用されるハーブに加え、シナモンやカルダモン、クミンといった乾燥スパイスもふんだんに使用。各種スパイスが織り成す独特の香りと清涼感に、ココナッツミルクやパームシュガーが奥深く濃厚な旨みと甘みを加えています。口に入れた瞬間、折り重なるように広がるその繊細な味わいは、ほかのタイカレーでは体験できないマッサマンならではのおいしさです!

※一部ではマッサマンはタイ中部から全土へ広がった、という説もあります

ハーブや野菜がたっぷり! 目にも鮮やかでヘルシーなライスサラダ

カオヤム

粉状にしたココナッツローストや干しエビも入っているので、旨みたっぷり。魚を発酵させて作るナームブードゥーという南部独自の調味料が全体をまろやかにまとめ、食べやすいおいしさに

 

カオヤムは、女性におすすめしたい南部料理の代表格。ごはんの周りに盛られているのはレモングラスやこぶみかんの葉、トーチジンジャー、青いマンゴー、ざぼん、四角豆など、ハーブや野菜、フルーツをスライスしたもの。これらをごはんと混ぜ合わせ、魚ベースの濃厚なソースをかけていただきます。さまざまな食感や香りを楽しめる上、美容や健康にいい食材をひと皿で一度に摂れるのも女性には嬉しい限り。油を使わずヘルシーなので、ダイエット時にも安心のタイ料理のひとつです。

独特の香りがクセになる、大きな豆・サトーの炒めもの

パットサトークン

パットサトークン(エビとネジレフサマメの炒めもの)。シュリンプペーストやチリインオイルなどをベースにした、スパイシーな味付けが特徴。最近はバンコクでもよく食べられています

 

クセの強い食材が好きな人には、サトーがおすすめ。マレー半島原産のため、タイでは南部でよく食べられています。独特の匂いがあるので好き嫌いは分かれますが、小気味のいいコリコリとした食感で、シーフードと一緒に唐辛子炒めにするとごはんとよく合う一品に! 

日本人にも食べやすい南部のチキンライス、カオモックガイ

カオモックガイ

バンコクにある有名店のカオモックガイ。ライスの下に大きなチキンが隠れています。トッピングされたフライドオニオンの香りと食感が程よいアクセントに

 

カオモックガイ

チキンは骨離れがよく、ホロホロと柔らか。チキンのほかに、牛肉やラムを使うことも

 

ターメリックライスにチキンを添えたシンプルな一品。チキンは香ばしく焼いてからスパイスとともに煮て、最後にごはんと一緒に炊き上げるため、旨みがギュッと凝縮され食感はほろりと柔らか。添えられたソースは辛さだけでなく甘みもあり、ライスとチキンの旨みを引き立ててくれます。シンプルな組み合わせで、日本人にも食べやすい南部料理です。

小エビの薫製、クンシアップはタイ南部の名産品!

クンシアップ

シンプルな葉野菜の玉子とじは、日本の家庭料理を思わせる優しい味わい

 

クセがなく食べやすい南部特産の葉野菜、バイリエンと玉子の炒めもの。トッピングされているのは干しエビではなく薫製にした小エビ、クンシアップ。香ばしく上品な味わいで、プーケット土産としてタイ人の間でも人気の食材です。

辛さ、香りともに強烈な上級者向けスープ、ゲーンタイプラー

ゲーンタイプラー

スープの色からも分かる通り、濃厚かつ強烈な味わい。南部を代表するメニューのひとつで、エスニックマニアにおすすめしたい一品です

 

魚の内臓を発酵させて作る「タイプラー」という調味料がベースの、南部の定番スープ。魚の旨みが凝縮されたスープは、初めて食べる人には刺激が強過ぎることうけ合いの強烈な辛さと香りが特徴です。ひと口めは刺激的な味わいに驚くものの、ピリピリとしびれる舌の上に広がる強い魚の香りと旨みがクセになり、もうひと口、もうひと口と食べたくなる後を引く不思議なおいしさです。

 

更新日:2015年01月28日

 

【記事執筆】
タイ料理ライター 白石 路以

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